〜実体験から学んだ準備のコツと心の整理法〜
「そろそろ終活を始めたほうがいいのかな…」そんなふうに考えたことはありませんか?
私も53歳のとき、友人の突然の訃報をきっかけに「明日は我が身」という現実を突きつけられました。でも正直なところ、何から手をつければいいのか全く分からなかったんです。エンディングノート?遺言書?それとも断捨離?情報は溢れているのに、どれも漠然としていて…。
その気持ち、本当によく分かります。でも実際に一歩を踏み出してみると、終活は「死ぬ準備」というより「これからをもっと自分らしく生きるための整理」だと気づきました。この記事では、私が試行錯誤しながら進めてきた終活の実体験を、失敗談も含めて正直にお伝えします。
目次
50代で終活を始めた理由と最初の一歩
私が終活を意識し始めたのは、53歳の秋でした。同じ職場の先輩(当時58歳)が心筋梗塞で急逝したんです。前日まで元気に仕事をしていた方が、翌朝突然…。葬儀に参列したとき、ご遺族が「パソコンのパスワードが分からない」「銀行口座がどこにあるか分からない」と困っている姿を目の当たりにして、他人事ではないと強く感じました。

でも、いざ「終活を始めよう」と思っても、何から手をつければいいのか本当に分かりませんでした。ネットで検索すると情報が多すぎて、かえって混乱したんです。
私が最初に取った行動は、意外にもシンプルでした:
- まず紙とペンを用意して、思いつくままに「やっておきたいこと」を書き出す
- 書店でエンディングノートを1冊購入(400円程度の薄いもの)
- 週末の朝30分、カフェで少しずつ記入する習慣をつける
ここで私が失敗したのは、最初から完璧を求めすぎたこと。「全部埋めなきゃ」とプレッシャーを感じて、1週間で挫折しかけました。でも、ある終活セミナーで講師の方が言った言葉に救われたんです。
「終活に締め切りはありません。気が向いたときに、書きたいところから書けばいい。それで十分なんです」
この言葉で肩の力が抜けて、自分のペースで進められるようになりました。実際、私のエンディングノートは今でも空欄だらけですが、それでいいと思っています。大切なのは、少しずつでも前に進むことなんですよね。
終活を始めるベストタイミングはいつ?
よく「終活は何歳から始めればいいですか?」と聞かれますが、私の答えは「思い立ったときが始めどき」です。
実は終活に関する調査(日本エンディングサポート協会、2024年)によると、終活を始めた年齢の平均は56.3歳。でも「もっと早く始めればよかった」と答えた人が72%もいるんです。私もまさにその一人。50代前半で始めて本当に良かったと感じています。
なぜなら、50代はまだ体力も判断力も十分ある年代。重い荷物を運んだり、複雑な手続きを理解したりする余力があるうちに進めておくと、後が本当に楽なんです。
エンディングノートで見えた「本当に大切なこと」
エンディングノートを書き始めて3ヶ月ほど経ったとき、意外な発見がありました。それは、自分が本当に大切にしているものが明確になったこと。

私が使っているエンディングノートには、こんな項目がありました:
- 財産・資産について
- 保険・年金について
- 医療・介護の希望
- 葬儀・お墓の希望
- 家族へのメッセージ
- 大切な人の連絡先
- デジタル遺品(SNS、サブスクなど)
最初は「財産」とか「葬儀」とか、重たいテーマばかりで気が重かったんです。でも、「家族へのメッセージ」のページを開いたとき、不思議と涙が出てきました。
「いつも支えてくれてありがとう」「あなたがいてくれて本当に幸せだった」そんな当たり前の感謝の気持ちを、普段は恥ずかしくて口に出せないんですよね。でもノートになら、素直に書けたんです。
実際に書いて良かった項目ベスト3
私が3ヶ月かけて記入してみて、特に役立ったと感じた項目を紹介します:
1位:デジタル遺品(ID・パスワード一覧)
これ、本当に重要です。私自身、銀行のネットバンキング、クレジットカード、Amazon、Netflix、iCloud…数えたら47個ものアカウントがありました。これを家族が把握していないと、月額課金がずっと続いてしまう可能性も。
私は専用のノート(100円ショップで購入)に、サービス名・ID・パスワードを手書きで記録し、自宅の金庫に保管しています。デジタルで管理するのは不安だったので、アナログにしました。
2位:医療・介護の希望
「延命治療を希望するか」「どこで最期を迎えたいか」といった項目です。実は母を看取ったとき、母の希望が分からず、兄弟で意見が分かれて辛い思いをしました。だからこそ、自分の意思は明確にしておきたいと思ったんです。
私の場合は「無理な延命は望まない」「できれば自宅で」と書きました。これを夫と子どもに見せて、事前に話し合えたことで、家族の心の準備にもなったと思います。
3位:大切な人への感謝のメッセージ
これは法的効力はありませんが、心の整理に本当に役立ちました。夫、子ども、両親、親友…一人ひとりに向けて、感謝の気持ちを書いたんです。
書いているうちに、「もっと一緒に時間を過ごしたい」「ちゃんと言葉で伝えたい」という気持ちが湧いてきて、今を大切に生きようと思えるようになりました。終活は「死ぬ準備」じゃなくて、「より良く生きるための整理」だと実感した瞬間でした。
断捨離で心が軽くなった話
エンディングノートと並行して取り組んだのが、断捨離です。正直、これが一番大変でした。でも、終わってみると心が驚くほど軽くなったんです。

私が断捨離を始めたきっかけは、実家の片付けでした。父が亡くなった後、母と一緒に遺品整理をしたんですが、膨大な量の「モノ」に圧倒されたんです。昭和の家電、着ない洋服、読まない本、使わない食器…。
「これを子どもたちに残したら、同じ苦労をかけるんだ」と思ったら、居てもたってもいられなくなりました。
私の断捨離、失敗からのスタート
最初は張り切って「週末で全部片付ける!」と意気込んだんですが、3時間で挫折しました。理由は、思い出に浸りすぎて全然進まなかったから(笑)。
古いアルバム、子どもの作品、夫からもらった手紙…どれも捨てられなくて、気づいたら写真を見て泣いているだけで、一つも片付いていませんでした。
そこで方針を変えました:
- 1日1エリアだけ(クローゼット、本棚、食器棚など)
- 思い出の品は後回し(まずは明らかな不用品から)
- 「1年使わなかったら手放す」ルールを徹底
- 写真に撮ってから処分(デジタルで残す)
このやり方に変えてから、ペースが一気に上がりました。特に「写真に撮ってから処分」は本当に効果的。思い出は残しつつ、物理的なスペースは空けられるんです。
断捨離で手放したもの、手放せなかったもの
手放したもの(約3ヶ月で):
- 服:約120着(クローゼットの6割)
- 本:約200冊(本棚2つ分)
- 食器:約50点(来客用の未使用品など)
- 雑貨・小物:段ボール5箱分
これらをフリマアプリ、リサイクルショップ、寄付などで手放しました。意外だったのは、フリマアプリで合計8万円ほどになったこと。「誰かに使ってもらえる」と思うと、手放す罪悪感も減りました。
手放せなかったもの:
- 子どもの成長記録(写真、アルバム、作品)
- 亡き父の形見(時計、万年筆)
- 夫との思い出の品(手紙、旅行の記念品)
これらは無理に捨てる必要はないと判断しました。大切なのは、「本当に大切なもの」と「何となく持っているもの」を区別すること。全部捨てることが目的じゃないんですよね。
断捨離を終えた今、部屋はすっきりして、探し物をする時間が激減しました。そして何より、「死んだ後、家族が困らない」という安心感が得られたのが大きいです。
お金と保険の見直しで安心を手に入れる
終活で避けて通れないのが、お金の整理。正直、これが一番面倒でした。でも、やってみたら予想以上に安心感が得られたんです。

私が取り組んだのは、主にこの3つ:
- 銀行口座の整理
- 保険の見直し
- 相続の準備(遺言書)
銀行口座の整理:実は7つもあった
自分の銀行口座、いくつあるか把握していますか?私は「3つくらいかな」と思っていたんですが、調べてみたら7つもありました。学生時代に作ったまま放置している口座、転職のたびに作った給与口座…。
これをそのままにしておくと、死後に家族が全ての口座を探し出すのはほぼ不可能なんです。実際、日本には約1兆円の「休眠預金」があると言われています(金融庁、2023年データ)。
私がやったこと:
- 使っていない口座4つを解約
- 残り3つ(メインバンク、貯蓄用、ネット銀行)に集約
- エンディングノートに支店名・口座番号を記載
- 通帳とキャッシュカードの保管場所を家族に伝える
口座解約は面倒でしたが(窓口に行く必要がある)、終わった後のスッキリ感はすごかったです。残高も把握しやすくなって、お金の管理が楽になりました。
保険の見直し:月2万円の節約に成功
次に取り組んだのが保険です。私は20代の頃に加入した生命保険をずっと続けていて、月額3万5千円も払っていました。でも、子どもも独立したし、住宅ローンも完済したし、今の自分に本当に必要か疑問だったんです。
そこでファイナンシャルプランナー(FP)に無料相談してみました(市の終活セミナーで紹介してもらえた)。
FPの診断結果は衝撃的でした:
- 死亡保障3000万円は過剰(子ども独立後は500万円で十分)
- 医療保険は公的保険と重複している部分が多い
- 貯蓄型保険は利回りが0.5%と低すぎる
見直した結果、月額1万5千円に削減できました。年間で24万円、10年で240万円の節約です。これを貯蓄に回せるようになって、老後資金の不安が少し減りました。
遺言書は書くべき?私の結論
遺言書については、最初は「うちは財産が少ないから必要ない」と思っていました。でも、相続トラブルは財産の多さに関係ないと知って、考えが変わったんです。
実は相続トラブルの約32%が、遺産1000万円以下の家庭で起きているそうです(最高裁判所、2023年データ)。理由は「誰が実家を相続するか」「親の介護をした人としなかった人での不公平感」など。
私の場合、財産は自宅(ローン完済)と預貯金が少しだけ。でも、自宅をどうするかは明確にしておきたいと思いました。
選んだのは「自筆証書遺言」:
- 費用がかからない(公正証書遺言は数万円かかる)
- 自分で書ける(ただし法的要件を満たす必要あり)
- 法務局で保管できる(2020年から可能になった制度)
書き方は法務局のホームページに見本があって、それを参考にしました。法務局での保管料は3900円だけ。これで紛失や改ざんの心配もなくなります。
遺言書を書いて法務局に預けたとき、不思議と「やるべきことをやった」という達成感がありました。いつでも書き直せるし、完璧じゃなくてもいい。大切なのは、自分の意思を形にしておくことなんだと思います。
家族に伝えておきたいことリスト
終活を進めていく中で一番大切だと感じたのは、家族とのコミュニケーションです。どんなに完璧なエンディングノートを作っても、家族がその存在を知らなければ意味がないんですよね。

私が実際にやってみて良かったことをシェアします。
「終活宣言」をしてみた
ある日曜日の夕食後、意を決して家族に言いました。「実は最近、終活を始めたんだ」と。
正直、重たい空気になるかと思ったんですが、意外にも夫は「それはいいね。俺も考えてたんだ」と。娘は「お母さん、まだ早くない?」と笑いながらも、「でもちゃんと話しておくのは大事だよね」と理解してくれました。
伝えた内容:
- エンディングノートの保管場所(リビングの本棚)
- 銀行口座と保険証券の場所(寝室のクローゼット)
- デジタル遺品のノート(金庫の中)
- 葬儀の希望(家族葬、シンプルに)
- 臓器提供の意思(希望しない)
リストにして渡すのではなく、会話の中で自然に伝えたのが良かったと思います。「こんなこと考えてるんだけど、どう思う?」と聞くことで、家族の意見も聞けました。
年に一度の「終活見直しデー」を設定
終活は一度やって終わりじゃなくて、定期的な更新が必要です。住所が変わったり、銀行口座を変えたり、気持ちが変わったり…。
私は毎年、自分の誕生日を「終活見直しデー」にしました。この日にエンディングノートを読み返して、変更があれば書き直す。そして家族にも最新情報を共有する。
去年の誕生日には、こんな変更がありました:
- メインバンクをA銀行からB銀行に変更
- 新しく始めたサブスク(音楽アプリ)を追加
- 葬儀の希望を「家族葬」から「直葬でもいい」に変更
年に一度なら負担にならないし、誕生日だから忘れないんです。そして何より、1年の振り返りにもなって、「今年も無事に過ごせたな」と感謝する時間になっています。
親の終活もサポートしてみた
自分の終活を進めるうちに、母の終活も気になり始めました。母は78歳で一人暮らし。父の遺品整理の大変さを経験しているので、「お母さんも少しずつ整理しない?」と提案してみたんです。
最初は「縁起でもない」と嫌がられましたが、「私も始めたんだよ」と自分のエンディングノートを見せたら、興味を持ってくれました。
今では月に一度、母の家を訪ねて一緒に少しずつ整理しています。一人でやると孤独で辛いけど、娘と一緒なら楽しいと言ってくれて、嬉しかったです。
この時間が、母との貴重なコミュニケーションの時間にもなっています。昔の写真を見ながら思い出話を聞いたり、母の人生を改めて知ったり。終活って、実は「生」を見つめる活動なんだなと実感しています。
よくある質問(FAQ)
Q1: 終活を始めるのに適した年齢はありますか?
結論から言うと、「思い立ったときがベストタイミング」です。私は53歳で始めましたが、もっと早くても遅すぎることはありません。ただ、体力や判断力がしっかりしている50代のうちに始めると、重い荷物の整理や複雑な手続きもスムーズに進められます。実際、終活経験者の72%が「もっと早く始めればよかった」と答えているデータもあります。
Q2: エンディングノートと遺言書の違いは何ですか?
エンディングノートは法的効力がなく、自分の希望や家族へのメッセージを自由に書くもの。一方、遺言書は法的効力があり、財産の分割方法などを正式に指定できます。私の場合、エンディングノートで日常的な情報や思いを記録し、遺言書で財産(主に自宅)の相続について明確にしました。両方作成することをおすすめします。
Q3: 断捨離で処分に迷うものはどうすればいいですか?
私も同じ悩みを抱えました。解決策は「保留ボックス」を作ることです。迷ったものは段ボール箱に入れて、6ヶ月間保管。その間に一度も開けなかったら処分、というルールにしました。また、思い出の品は写真に撮ってデジタル保存してから処分すると、罪悪感が減ります。大切なのは、全部捨てることではなく、「本当に大切なもの」を見極めることです。
Q4: 家族に終活の話を切り出すのが気まずいです
その気持ち、よく分かります。私も最初はためらいました。おすすめは、日常会話の延長で自然に伝えること。例えば、ニュースやドラマを見たときに「こういうとき、自分ならどうしてほしいか考えちゃうよね」と話題を振る。または「最近エンディングノート書いてるんだ」とさらっと報告するだけでもOK。重たく構えず、軽い感じで始めると、家族も受け入れやすいです。
Q5: 終活にかかる費用はどのくらいですか?
私の場合、約5万円でした(内訳:エンディングノート400円、FP相談0円(無料)、銀行口座解約0円、自筆証書遺言の法務局保管3900円、断捨離の処分費約1万円、残りは整理用の収納グッズなど)。公正証書遺言を作る場合は別途5〜10万円かかりますが、自筆証書遺言なら費用はほとんどかかりません。専門家に全て依頼すると高額になりますが、自分でできることから始めるなら、ほとんどお金はかかりませんよ。
まとめ
50代での終活について、私の実体験をお伝えしてきました。最後に要点をまとめます:
- 終活は「死の準備」ではなく「より良く生きるための整理」。始めたことで、今を大切に生きる意識が高まった
- エンディングノートは完璧を目指さず、書きたいところから少しずつ。特にデジタル遺品、医療の希望、家族へのメッセージは重要
- 断捨離は一気にやらず、1日1エリアずつ。写真に撮ってから処分すると、思い出も残せて心の負担が減る
- お金の整理(銀行口座・保険・遺言書)は想像以上に安心感がある。専門家の無料相談も活用しよう
- 家族とのコミュニケーションが最も大切。年に一度の見直しを習慣化して、最新情報を共有する
終活を始める前の私は、「まだ早いかな」「縁起でもない」と躊躇していました。でも実際に始めてみると、不安が減って、今をもっと楽しめるようになったんです。
あなたも、完璧を目指さなくて大丈夫。小さな一歩から始めてみませんか?明日、エンディングノートを1ページだけ書いてみる。クローゼットの一角だけ整理してみる。それだけで十分です。
人生の終わりを意識することは、人生の残り時間をどう生きるかを考えること。そう思えるようになった今、私は50代の人生を、これまで以上に大切に、そして前向きに歩んでいます。