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公開日: 2026-04-10

アート棺・デコ棺は火葬できるのか|斎場と棺メーカーに実際に聞いてみた

最近、装飾された棺、いわゆる「アート棺」「デコ棺」を目にすることが増えてきました。ペンキで絵を描いたもの、リボンやレースで飾ったもの、ビーズやスワロフスキーをあしらったものなど、その人らしさを自由に表現できる棺です。

私自身も、将来はこういう棺に入りたいと思っています。

ただ、実際にこれらの棺は使えるのでしょうか。火葬や保棺の現場ではどのように扱われるのか、いくつかの関係先に直接聞いてみました。

桐ヶ谷斎場(民間斎場)で聞いたこと

最初に確認したのは、桐ヶ谷斎場です。

漆などの塗り物が施された棺については、保棺の段階で制限がかかる場合があるとの回答でした。理由は、温度や湿度の条件によって塗装面がベタついたり、においが発生したりする可能性があるためです。

火葬の前に、まず「棺を安置しておく段階」で問題が出ることがある。装飾棺というと火葬時のリスクに意識が向きがちですが、実はもっと手前の保棺の時点から、配慮すべき点があるということでした。

臨海斎場(公営斎場)で聞いたこと

次に確認したのは、臨海斎場です。こちらではより具体的な説明がありました。

火葬は約1000度の高温で行われるため、燃えないものや溶けるものは注意が必要です。特に避けるべきとされているのは次のような素材です。

  • ガラス
  • 金属
  • プラスチック
  • ビーズや樹脂などの装飾素材

これらは遺骨に付着したり、炉に残って設備にダメージを与えたりするリスクがあります。火葬不適合の素材によって炉が故障した場合、損害賠償に発展したケースもあるとのことでした。

一方で、ビニールについては「セロファン程度の薄いものであれば問題ない」という話もありました。同じ「燃えにくそうに見える素材」でも、厚みや量によって扱いが大きく変わります。

また実際に、装飾の内容によっては火葬前に外してもらうようお願いしたこともあるそうです。

棺メーカー(日本コフィン)の見解

棺をつくる側の立場として、日本コフィンにも確認しました。

火葬に関する基準には地域差があるものの、基本的には次の素材は避けるべきとされています。

  • 金属
  • ガラス
  • プラスチック類

塗装については、「多少であれば問題ない場合もあるが、地域や施設によって判断が分かれる」という回答でした。

つまり、メーカー側も一律に「大丈夫」「ダメ」とは言い切れず、最終的には実際に使用する斎場の判断に委ねられる部分が大きいということです。

共通して見えてきたこと

三者にそれぞれ話を聞いて、共通していたのは「自由に見えて、実際は制約が多い」という点でした。

アート棺・デコ棺は、見た目としては確かに自由です。しかし火葬という現実の工程を通る以上、素材・構造・装飾のすべてにおいて制限を受けます。

しかもその制限は、地域や施設ごとに判断が異なります。ある斎場では問題なく受け入れられるものが、別の斎場では断られる、ということも起こり得ます。

確認先主な懸念ポイント備考
桐ヶ谷斎場(民間)塗り物棺の保棺(温度・湿度・におい)火葬前の安置段階で制限
臨海斎場(公営)ガラス・金属・プラスチック・装飾素材セロファン程度のビニールは可
日本コフィン(メーカー)金属・ガラス・プラスチック類、塗装最終判断は斎場ごと

少し考えてみる

棺は、最後に入るものだからこそ、できれば自由であってほしい。そう思う一方で、現実には火葬という工程を通る以上、守らなければならない条件があります。

見た目の美しさと、実際に使えるかどうか。そのあいだには、少し距離があります。

それでも、個性的な棺が実際にも使われる日が来ることを願っています。そしてその日が来るまでのあいだは、どんな装飾が許されるのか、事前に斎場へ相談しておくことが、何よりも安心につながるのだと感じました。

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